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ステンレス鋼種辞典

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ステンレスの材質

ステンレスは、鉄をベースに、クローム・ニッケルなどを混ぜた合金です。クロムなどにより、表面に強い酸化皮膜(不動態皮膜)ができることで、腐食に強い金属となります。ステンレス(stainless steel)は、錆びない鋼ではありません。「錆びにくい」鋼です。鉄のような赤錆にはなりませんが、条件・環境により様々な腐食を起こします。

ステンレスの比重(質量)は、7.7~8です。(鋼種によって異なります。)SUS304が、比重7.93ですので、鉄の重さとほぼ同じです。板厚1mmで1mx1mの板の重さが、7.93kgになります。

ステンレスは、鉄(軟鋼)に比べ硬く靭性(ねばり)があるため、切断や削り・曲げなどの加工に、機械のパワーや刃物の硬さなどがより必要になります。ステンレス製品が高価になる理由は、材料費が鉄に比べ高いこと以外に、この加工の難しさによる要因が大きくかかわっています。
鉄に比べ強度があるため、鉄より薄い(細い)材料を使っても強度を得ることができる面があります。

ステンレスの鋼種

ステンレスの材質記号は、SUS(さす)です。SUSの後に3桁の番号などをつけて、ステンレスの鋼種を区別します。耐熱性は、SUS304<SUS316<SUS309S<SUS310Sの順で、価格も順に高くなります。

SUS304
Cr18%、Ni8%を含む。
耐食性・耐熱性良好で、最も一般的に使用されている。
塩素や酸の強い環境では腐食がおきる。
溶接の熱影響を受けたところで、腐食割れをおこすことがある。
耐熱温度は、700~800℃が目安。熱膨張率が大きい。
通常、ステンレスというとこの鋼種を使用することが多い。
SUS304L
SUS304から炭素(カーボン・C)の含有量を、微量に抑えたローカーボン材。
炭素は、素材の強度(硬さ)を左右するとともに、腐食や、割れなどを起こす原因になる元素。
炭素量を低減(0.03%以下)して、耐食性を高めたもので、少し柔らかめの材料。(価格が高くなる。)
鋼系の合金というのは、大雑把に見れば、炭素のより少ないところに炭素を足して行くのではなく、炭素のより多いところから炭素を減らして目的の性質を得る。ただでさえ炭素の少ない304からさらに炭素を減らしているため、「炭素が少ない」というだけでも最低一手間くらいは増えていると考えて差し支えない。
また、304Lは、普通の304に比べれば需要も少ない。材料代も手間もだいたい同じなら、需要の少ない製品の方が最終的な価格はより高くなる。
SUS316
SUS304を基に、Ni量を増やし、モリブデン(Mo)を2~3%添加した鋼種。Moの添加により、耐酸性、耐熱性が向上する。化学薬品・海水などを扱う環境などで、SUS304では耐久性・耐食性に劣る場合に使用する。Moは、高価な元素なので、材料もその分高価になる。
SUS316L
SUS316から炭素(カーボン・C)の含有量を、微量に抑えたローカーボン材。
304Lと同じ理由で値段が高くなる。
SUS430
Cr18%、Niなし。磁石にくっつく。SUS304に比べ、耐食性に劣るが、安価なため、厨房(台所)用品・家庭雑貨などで多く利用されている。家庭などの水周りで使う程度の環境であれば、ほぼ問題はない。家庭にあるステンレス製品を、磁石につくかどうか試してみるとおもしろいかも知れない。熱膨張率が小さいことが利点。
SUS410S系
鉄に比べ耐食・耐熱性があり、安価なステンレス鋼種のため、自動車の排気系部品(マフラーなど)に使われている。凍結防止剤による腐食を防ぐため自動車のマフラーはステンレス化が進んでいる。
SUS310S・SUS309S
Cr、Niを増やした高級耐熱鋼。1000℃くらいの熱に耐えるので、炉材や熱処理器具などの過酷な条件で使われている。
SUS310SがCr25%・Ni20%の合金で、それ以上の含有率のものは、ニッケル合金の範疇になっていく。ニッケル合金の代表的な商標名として、ハステロイ・インコネル・カーペンターがあるので、ご紹介まで。
SUS301
バネ用鋼種。SUS304よりC(カーボン・炭素)を多めにしてあるため、冷間加工による加工硬化が大きく、バネ材として使われる。

ステンレスの表面仕上

一般の方は、ステンレスというとピカピカ光沢の金属のイメージが強いようです。
これはキッチン用品や装飾金物などの普段目に付きやすいものが、研磨加工などで仕上られているからです。しかし、ステンレス材料の表面は、その製造方法(工程)や形状により、いろいろなものがあります。材料の製造方法と表面状態は、密接に係わっているので、同じ材料表面でも違う言い方をすることが多分にあります。

NO,1・HOT・酸洗
板材で、つや消しの、白っぽい表面。梨地に近い感じ。(表面が粗い。)厚さ3mm以上の板材。熱をかけてロールで延ばす(熱間圧延)工程の後、酸で表面につく黒い皮膜や汚れを取り除いたもの。製造工程で、1番初めのものなので、NO,1(なんばーわん)と呼ぶ。(単純です。)熱間製造材料なので、HOT(ほっと)材ということも多い。酸で洗っているので、酸洗(さんせん)材とも言う。
フラットバー、アングル、丸棒は、NO,1と言わず、通常、HOT材・酸洗と呼んでいる。ステンレスの場合、鉄のように黒皮(くろかわ)のままのものは、ほとんどないので、HOT材といえば酸洗表面になる。
溶接焼けで黒くなったところをきれいにするため、酸洗いをすることが多いが、その場合も当然同じようなつや消し状態になる。ちなみに、ステンレス鍋などの汚れをレモン汁できれいにするのは、家庭版の酸洗いということ。
2B
やや光沢(つや)のある表面で、つるっとしている。厚さ6mm以下の板材。SUS304は、白銀(ニッケル)色、SUS430は、クロム色。正式には、NO,2B(ナンバー・ツー・ビー)だが、略して2Bと表すのが普通。HOT材を冷間圧延し、表面を仕上げるロールを通してつくる。2番目の工程でできるのでNO,2で、仕上がブライト(B)の意味。耐食面で安定していて、最も一般的に使われている冷間材の表面。
NO,1・HOT材に対して、COLD(冷延)材の基本になる表面が2B。ただし、コールドといっても、冷やして材料を製造するのではなく、熱をかけずに(常温で)圧延して造るという意味。
2Bの前の、2D(ツーデー)という仕上もあるが、これは、ダル(にぶい)仕上のもので、一般には出まわっていない。
BA
きれいな光沢のある表面で、後述の400番研磨と同等(以上)の感じ。ブライト・アニールを略してBA(ビーエー)。
日本語では、光輝焼鈍(こうきしょうどん)という。ブライトが光輝で、アニールが焼鈍(熱処理の一種)。
特殊なガスの中で、熱処理をすることによって光沢を得ることができる。研磨加工をしたものではない。
薄板(たぶん1.5mm以下)しかつくられていない。石油ストーブの反射板に、SUS430系のBA材が使用されていると思う。鏡と同等な研磨仕上げをする場合の母材として使ったりする。

ステンレスの研磨仕上

これより以降は、研磨(2次)加工を、施した表面仕上です。ほとんどが、外観装飾用。
研磨した板には、傷の防止(養生)のために、ビニールなどが張りつけられています。
よくあるのは、半透明の青色のもの。これはビニールではなくポリ製で薄く、劣化しやすい。
プレス加工(深シボリ)のために張ることも多い。白い養生テープは、ビニール系で厚く、ポリに比べ強度・耐久性があります。

HL研磨
長く続く縦すじのついた仕上。髪の毛のような線という意味で、HL(ヘアーライン)研磨と呼ばれる。200番~250番程度の研磨材(砥材)を使って研磨したもの。縦すじによって、独特のおちつきのある、つや消し的仕上りになる。手摺・柵・屋外建材金物などによく使われているので目にする機会は多い。公共施設の手摺をしげしげと観察してみよう。
なお、HLによく似た研磨仕上げのNo.4(ナンバーフォー)というものもある。
これは、研磨がHLより粗めで、縦筋が通っていない感じのもの。どちらかというと素材表面の傷や荒れたのを隠すような目的。
#400研磨
光沢(ピカピカ)仕上の代表的なもの。2B素地を#400(よんひゃくばん)バフで研磨したもの。
バフとは、回転させて磨く研磨材のこと。昔は、光沢を出すために、羽のような柔らかい布で磨いたので「羽布」と漢字で書いた。#400は、そのバフ(砥粒)の番手で、数字が大きいほど細かくなるので、光沢が増す。研磨パイプの番手は、#400~#600が通常。
#700研磨・#800研磨
このあたりの研磨レベルになると、ガラスの鏡と同等の感じになる。
鏡面研磨と云うと、このレベルの研磨になる。板材のみ。専用の素材と専用の研磨機を使用して磨くので、とっても高価。加工製品を、手作業でバフ研磨する場合は、#600くらいが限度だと思う。ほとんど建築用の装飾金物用途。
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